2009 Fiscal Year Annual Research Report
半単純Lie群のWhittaker関数及び、その整数論的な応用
Project/Area Number |
08J08286
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宮崎 直 The University of Tokyo, 大学院・数理科学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | Whittaker関数 / 保型形式 |
Research Abstract |
この研究の主な対象はWhittaker関数と呼ばれる保型形式をFourier展開した際に現れる代表的な球関数である.この関数の明示式を得る事と,その保型L関数等への応用を調べる事を目的に本年度は以下の2つの研究を行った. まず,1つ目はGL(3)×GL(2)の実素点での局所ゼータ積分の評価に関する研究である.ゼータ積分とは大域的Whittaker関数のある種の積分変換であり,保型L関数と正則関数の積と一致するものである.今回の研究では既に知られているGL(3,R)とGL(2,R)上のWhittaker関数の明示式を用いて,局所ゼータ積分の計算を行った.その結果,任意のGL(3,R)とGL(2,R)のWhittaker関数を持つ既約許容表現達に対して,局所ゼータ積分が保型L関数の局所因子と一致するようなWhittaker関数の組が存在する事を証明する事ができた.これによって,GL(3)×GL(2)については総実体上の場合,ゼータ積分を保型L関数の積分表示と見なせるようになる.この結果が特殊値などの保型L関数のより深い性質の研究に応用できる事を期待している. 2つ目はSp(2,C)の主系列表現の極小K-タイプにおけるWhittaker関数の明示式に関する研究である.Sp(2,R)については様々な既約許容表現に関するWhittaker関数の明示式が知られているが,Sp(2,C)の場合はそのK-タイプの複雑さのせいか,まったく調べられていなかった.まず極小K-タイプの扱いやすい基底を構成し,それを使ってWhittaker関数を特徴付ける微分方程式を立式した.さらに最高ウェイトベクトルに対応するWhittaker関数に関しては,実際に微分方程式を解き,明示式を得る事ができた.
|
Research Products
(2 results)