2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J08307
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
伊藤 大幸 Nagoya University, 大学院・教育発達科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ユーモア / 笑い / 不適合理論 / 感情 / 情動 / 認知心理学 |
Research Abstract |
本年度は、ユーモアの生起メカニズムに関する2つの論文を学会誌に投稿し、受理された。 1つめの論文では、ユーモアの生起メカニズムに関する2つの代表的な理論の対立を発展的に解消する統合的モデルを提案した。ユーモア研究の領域では、1970年代以降、不適合モデルと呼ばれる立場と不適合-解決モデルと呼ばれる立場の間で論争が続けられてきた。前者の立場では、「予期と実際とのズレ」として定義される不適合が直接ユーモアを生起させると考えられている。一方、後者の立場では、不適合が何らかの理由づけによって解決されることで初めてユーモアが生じると考えられている。しかし、両者の主張を精査すると、不適合モデルが想定する、ユーモアをもたらす不適合と、不適合-解決モデルが想定する、解決の対象となる不適合は、理論的に区別することができる。そこで本論では、これらをそれぞれ構造的不適合(状況の特異性)および論理的不適合(状況の不可解さ)と呼び、区別することで、2モデルが論じた2つのプロセスを1つのモデルの中で統合的に表現することに成功した。 2つめの論文では、上述の論文において提案された統合モデルの実験的検証を行った結果を報告した。統合モデルでは、構造的不適合がユーモアの直接の生起因として、論理的不適合がユーモアの生起を阻害する要因として想定されている。この想定の妥当性を検証するため、この実験では、刺激エピソードに含まれる論理的不適合と構造的不適合を個別に操作し、ユーモア反応の変化を検討した。その結果、モデルの予測に一致し、論理的不適合はユーモア反応を弱め、構造的不適合はユーモア反応を強めることが示された。論理的不適合と構造的不適合が独立にユーモアを規定することを示すこの結果は、2つの概念を区別した統合モデルの概念枠組みと基本的仮定の妥当性を示している。
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Research Products
(2 results)