2009 Fiscal Year Annual Research Report
音楽の情動的意味の処理に関わる脳内メカニズムの検討
Project/Area Number |
08J08309
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
田部井 賢一 Nihon University, 大学院・総合科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 音楽知覚認知 / 脳機能イメージング / 情動 / 意味処理 |
Research Abstract |
本研究の骨子は、音楽の情動的な意味の処理に関わる脳内メカニズムの解明を目的に、脳機能イメージング研究を実施することである。 1.音楽の持つ情動表現の認知に関わる脳部位 本研究ではfMRIを用いて、音楽の持つ情動表現を認知する脳内メカニズムを検討した。音楽の専門的な訓練を受けている大学生が実験に参加した。刺激は、音の高さが上降、下降もしくは変化しない連続した3つのピアノ音で、長音階または短音階で構成された。被験者は高さ判断課題(上降、下降、どちらでもない)、表現判断課題(楽しさ、悲しさ、どちらでもない)、調性判断課題(長調、短調、どちらでもない)、刺激聴取後にボタンを押すコントロール課題を行なった。表現判断課題>コントロール課題と、調性判断課題>コントロール課題では両側の下前頭回、中前頭回、内側前頭回、上頭頂葉、下頭頂葉、帯状回に有意な活動が見られた。また、表現判断課題>調性判断課題では、左下前頭回に有意な活動が見られた。この結果から採用第1年度に行なった実験と同様に、左下前頭回は音楽が持つ情動表現の認知に関わると考えられた。音声プロソディに関する先行研究もふまえ考察を行なう。 2.音楽が持つ情動表現の評定と、音楽によって喚起された聴き手の内的な情動反応の評定にかかわる脳内機構を比較検討した。音楽の専門的な訓練を受けていた大学生が実験に参加した。Vieillardら(2008)が使用した音楽刺激のうち、happy(楽しい)、sad(悲しい)のカテゴリーから使用した。被験者は、刺激聴取後の自分の情動反応を判断する自分課題(楽しい、悲しい、どちらでもない)、刺激聴取後に刺激が持つ情動表現を判断する音楽課題(楽しい、悲しい、どちらでもない)、聴取後にボタンを押すコントロール課題を行なった。音楽課題>コントロール課題では両側の下前頭回、帯状回、自分課題>コントロール課題では右運動前野、楔前部、視床に有意な活動があった。さらに自分課題>音楽課題では、楔前部に有意な活動があった。各コントラストで活動した脳領域の妥当性、ならびにその機能について考察をしていく。
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Research Products
(4 results)