2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J08313
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
見村 万佐人 The University of Tokyo, 大学院・数理科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 離散群 / グラフ / 作用素環論 / 剛性 / Kazhdanの性質(T) / 固定点性質 |
Research Abstract |
本研究において第一に行ったのは、修士論文で得られたKazhdanの性質(T)の拡張をさらに理論的に推し進めたことである。先行研究であるLafforgueのエキスパンダグラフに対する結果は、ある種の群に関してKazhdanの性質(T)の非常に強い拡張が成り立つことを証明しその副産物として得られた。ただし、この結果で対象となる群は局所体上の特殊線型群及びその余コンパクト格子であり、例えば$SL(3,\mathbb{Z})$といった余コンパクトでない一般の格子に関しては分かっていない。本研究では第一に一般的なランク2以上の単純代数群及びその格子がヒルベルト空間上の一様有界表現に関しKazhdanの性質(T)の拡張を満たす事実に証明を与えた。本研究の第二の狙いは、より一般の離散群に結果を広めることである。グラフとの結びつきを考えるとき、対象となる群を離散群に絞るのは自然である。現在、有限生成$\mathbb{Z}$-多項式環の特殊線型群が、Kazhdanの性質(T)の拡張となる強い固定点性質をもつことを研究により予想しており来年度中の解決を計画している。予想が証明できれば、代数群やその格子の場合以外では知られていない強い固定点性質への初めてのアプローチとなり、その意義は大きいと考える。さらにこの結果はグラフへの応用の他にも、一様凸なバナッハ空間へのアファイン作用を通じて、剛性問題やBaum-Connes予想といった各重要分野へのインパクトも与えるものである。最後に、来年度以降の研究の大きな目標に、Kazhdanの性質(T)を満たす群のより強い性質での分類がある。特に、上で挙げたクラスの群とGromovの意味での双曲群とが強い性質で明確に分離できることを示すことが目標である。
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Research Products
(3 results)