2008 Fiscal Year Annual Research Report
主体と社会の再帰化が進行する時代の新しい意思決定論の構築のための精神分析的研究
Project/Area Number |
08J08320
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
萩原 優騎 The University of Tokyo, 大学院・新領域創成科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 再帰性 / アイデンティティ / 精神分析 / ジャック・ラカン / アンソニー・ギデンズ / 科学技術社会論 / 環境・生命倫理学 / 意思決定 |
Research Abstract |
当初の研究計画に従い、自身の研究課題の基礎となる諸概念の検討と、従来の研究内容を反省的に問う作業を遂行した。具体的には、「再帰性」と「自己決定」といった諸概念及び両者の関係性、ラカン派精神分析の主要概念についての問いが中心となった。これまでの研究において考察が不十分であったと思われる点、再検討が必要であると考えられる点を挙げ、その批判的な問い直しを試みた。そして、それらの点に関係する文献の読解と検討に、主な時間を費やすこととなった。同時に、研究課題に関連する「再帰性とアイデンティティ」研究会を自ら立ち上げて毎月実施すると共に、各地での精神分析関連の研究・読書会にも定期的に参加することで、学びを深めた。その成果は、ジャーナルに投稿した学術論文、科学技術社会論学会や日本ラカン協会をはじめとする学会及び研究会での発表、アウトリーチ活動として実施した研究報告会等を通じて公表した。理論的な研究と並行して、その研究成果を具体的な場面で検証する作業にも取り組んだ。数年前からフィールドワークを重ねている群馬県吾妻川流域にて、ダム開発問題や麻産業に関する現地調査を実施した。また、麻産業の比較研究として、岩手県岩手郡雫石町の事例についても調査を進めた。これらの研究により、当初予定していた課題は概ね達成できたと考える。今後は、その成果に基づいて、理論面での一層の整備と展開を試みると共に、引き続き事例研究も重ねていく。それにより、現代社会における具体的な場面での意思決定に有効な理論モデルを構築して提示するという、最終課題の達成を図る。
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Research Products
(4 results)