2008 Fiscal Year Annual Research Report
霊長類のコミュニケーションにおける視聴覚統合とその脳内機序の解明
Project/Area Number |
08J08336
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
倉岡 康治 National Center of Neurology and Psychiatry, 神経研究所・モデル動物開発部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 表情 / 音声 / 扁桃核 / 視聴覚統合 / 生理応答 / 神経生理学 |
Research Abstract |
本研究の大きな目的は、コミュニケーションにおける視聴覚統合の生物学的基盤とその脳内機序を明らかにすることである。そのために、霊長類を対象として曖昧な表情を弁別する際に音声が聞こえた結果、表情の弁別にどのような影響が出るかを、行動学や生理学や脳神経科学の手法を用いて調べる計画である。平成20年度は研究期間の初年度であり、おもに実験のセットアップと基礎的なデータの取得を行った。まずはアカゲザルを対象に同種他個体の表情を弁別してボタンで回答する訓練を行った。そのための実験装置の組み立てや、実験を制御するための自作プログラムの開発も行った。またこの実験に用いる刺激として、表情や数多く集め、その中から2つの表情の中間にあたるような曖昧な表情刺激を作製した。サルが高い割合で同種他個体の表情を弁別できるようになった段階で、時々曖昧な表情を提示して、サルはどちらの表情と判断するかを調べた。その結果、サルは曖昧な表情を提示されると、元になった2つの表情うち近い表情であると判断することが多かった。しかし、2つの表情の成分がちょうど同じ割合含まれる曖昧な表情に近づくにつれて、判断はどちらつかずになり、試行毎に判断が変動する結果となった。以上の訓練や基礎的な行動データの取得とは別に、アカゲザルが同種他個体の表情や音声を見たり聞いたりしてときの情動の生起を確認するために、生理応答の記録も行った。平成20年度は、生理応答として鼻部周辺温度の変化を指標とした。この指標は以前の研究において情動との関連が示されている。サルに対してはコンピュータディスプレイやスピーカからデジタル化された表情や音声の刺激を提示したが、提示後に鼻部周辺温度の低下がみられ、情動が生起していることが確認された。今後、上記の基礎データをもとに本実験に入る予定である。
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Research Products
(1 results)