2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J08366
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中島 秀太 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | レーザー冷却 / 冷却原子 / フェッジュバッハ共鳴 / 強相関 / 少数多体系 |
Research Abstract |
前年度から引き続き,冷却6Liフェルミオン原子3成分系の実験を行なった.3成分フェルミ原子系は,計算の難しいQCDや少数多体系(特に3体束縛状態(Efimov状態))との関連から注目を集めており,当研究課題の「理論計算の難しい物理を実験的にシミュレートする」という目標を実現するための研究対象として適している.当該年度前半は,この系における原子-分子散乱レートの磁場依存性の研究・成果発表を行なった.Efimov状態が存在すれば,Efimov状態の束縛エネルギーと分子の束縛エネルギーの縮退する磁場において,原子-分子散乱レート・が増加することが予測されていたが,本研究では,・の磁場依存性を測定し,原子-分子ロスが602Gと685Gの2点において共鳴的に増大することを発見した(学会発表[1,2]).また論文としてPRL誌に投稿・受理された(雑誌論文[1]]).この成果は,Efimov状態の束縛エネルギーを直接測定する際の重要な基礎データになり,ドイツのグループが6月にEfimov状態のRF会合実験の論文を発表した際には,彼らのデータ点の解釈に我々のデータから推測された束縛エネルギーが用いられた. 当該年度後半はこのRF会合実験を追試し,先行研究では考慮されていなかった有限温度の効果が,実際には有意に効くことを明らかにした.また温度シフトのない十分低温で実験を行ない,より正確な束縛エネルギーを測定した.この結果,散乱長と3体パラメータのみから決まる従来の"計算可能な"Efimov理論の予測とは定量的にズレていることを見出した.さらに,この実験結果を説明するためには,これまで定数であると想定されてきた3体パラメータが磁場・束縛エネルギーに対して変化しなければならなく,しかもその磁場またはエネルギー依存性が単調ではないことを,理論家のP.Naidon氏の協力を得て明らかにした(学会発表[2,3]).また論文としてPRL誌に投稿・受理された(雑誌論文[2]).
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Research Products
(5 results)