2008 Fiscal Year Annual Research Report
退化型を含む非線形放物型方程式の爆発解の漸近挙動と曲面消滅問題の解析的研究
Project/Area Number |
08J08409
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
関 行宏 The University of Tokyo, 大学院・数理科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 非線形問題 / 爆発解 / 無限遠での爆発 / 平均曲率流方程式 / 放物型方程式 / 漸近挙動 / 退化型 |
Research Abstract |
本研究では、反応項を伴う退化非線形放物型方程式に関する解の爆発現象、及び、それと関連の深い曲面消滅問題を研究している。今年度は前者の爆発問題に関して、反応の速さに比べて拡散が早い場合についての爆発解の延長が可能であるかどうかを調べた。爆発問題の研究において、その爆発の様子を調べる為に、従来の解の概念をもとに爆発後も意味を持つような延長可能な解を定義し、その意味で解が爆発時刻を越えて非自明な延長解が存在するかどうかを調べることが有用である。初期値が無限遠方で減衰している場合には、爆発集合が小さいとき、そのような延長解が存在する可能性が高いことが知られている。逆に言えば、そのような延長が不能であることを示せば、爆発集合がそれほど小さくはない、ということが期待できる。これは本研究の予想である、爆発時刻において解が空間全体で爆発しているという予想と整合している。ところが、本研究で扱う問題は初期値が無限遠方で増大しており、既存の研究結果から直接には結論が出せない。このため、固有関数法や無限遠で爆発する解の性質をうまく組み合わせることによって、望ましい結果を得た。 また、後者の曲面消滅問題についての研究においては、当初予想していた結果をおおよそ得ることができた。即ち、無限遠方でもっとも軸に近い初期曲面を与えるとき、曲面の消滅時刻は最小となり、解がゼロになる位置は無限遠のみになることを証明できた。平均曲率流に従って動く曲面の時間発展の様子は、ある軸に関する対称性の仮定のもとでは、一次元非線形放物型方程式に帰着される。ただし、その主要項の取扱は難しく、上記爆発問題の手法を直接応用できない。そこで、線形放物型の理論に加えて、解の勾配評価に注目するという手法により当初の予想に対して厳密な証明を与えた。現在、国際雑誌発表に向けて準備を進めている。
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