2009 Fiscal Year Annual Research Report
電気伝導特性解析プログラムの開発と核酸中の水和水が関与した電気伝導機構の解明
Project/Area Number |
08J08427
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
塚本 貴志 Toyohashi University of Technology, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | DNA / 人工核酸塩基 / 電気伝導特性 / 水和 / 金電極 / 量子輸送理論 / 密度汎関数法(DFT) / 分子シミュレーション |
Research Abstract |
平成21年度、申請者は交付申請書に記載した「研究実施計画」に沿って人工核酸塩基から成るDNA二重鎖の電気伝導特性を解析した。DNA二重鎖は、次世代の電子ワイヤーとして利用することができると言われている。そして、最近の実験において、DNA二重鎖の電気伝導度を向上させる様々な人工核酸塩基が合成されている。本研究では、人工核酸塩基から成るDNA二重鎖における電気伝導特性を電子レベルで明らかにし、よりDNA二重鎖の電気伝導特性を向上させる新規の人工核酸塩基を提案することができる。この結果は、実用的なDNA電子ワイヤーを実現する上で重要であると考えられる。なお、本研究には、平成20年度の研究実施計画において、新規に開発した電気伝導特性解析プログラム(今年度業績(雑誌論文)(1))を用いた。 今年度は、まず、実験により合成されている既存の人工核酸塩基BDA、MDA及びNDAから成るDNA二重鎖と金電極の複合体を作成し、その電気伝導特性を解析した。その結果、天然のDNA二重鎖及びこれらの人工DNA二重鎖の電気伝導度について実験結果を説明できる計算結果を得た。そして、既存の人工核酸塩基がDNA二重鎖の電気伝導度を向上させる要因が人工核酸塩基のイオン化ポテンシャルの小ささであることを明らかにした。これらの結果を2件の学会(今度業績(学会発表)(1)、(2))にて発表し、うち一件の学会で学生優秀発表賞を受賞した。 さらに、本研究では、これらの結果を基に、DNA二重鎖の電気伝導度をより向上させる新規の人工核酸塩基を提案し、実際にこの新規人工核酸塩基から成るDNA二重鎖の電気伝導度が向上することを計算によって確認した。この結果を纏めた論文を現在作成中であり、今後、国際学術雑誌に投稿する予定である。本研究で得られた成果は、今後、より高性能なDNAワイヤーを実現する際に有益な情報となると考えている。
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Research Products
(5 results)