2009 Fiscal Year Annual Research Report
細胞膜リン脂質二重層内外の脂質分布を制御する分子群の同定および機能解析
Project/Area Number |
08J08430
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
林 輝 Tottori University, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ホスファシジルセリン / スフィンゴミエリン / 血小板 |
Research Abstract |
細胞膜リン脂質二重層の内層に局在するホスファチジルセリン(PS)は、細胞の活性化やアポトーシスなどにより細胞外膜へ露呈(フリップ・フロップ)するが、その分子メカニズムには不明な点が多い。スフィンゴミエリン(SM)は細胞膜に最も多量に存在するスフィンゴ脂質であり、細胞内外のシグナル伝達や脂質マイクロドメインの形成などに関与すると考えられているが、グリセロリン脂質であるPSの配向性との関連については全く明らかにされていない。本年度は、PSの局在化とフリップ・フロップの分子機構をSM代謝との連関から明らかにすることを目的とし、SM合成酵素(SM Synthase : SMS)の欠失(KO)したマウスを用いた解析を行った。 SMS1KOマウスでは、野生型(WT)マウスに比べ、白血球数や赤血球数は正常であったが、血小板数のみが顕著に減少しており、尾静脈出血時間が有意に延長していた。酸性リン脂質に結合するアネキシンVは、WTマウス由来の血小板には殆ど結合しないが、SMS1KOマウス由来の血小板の一部には結合することから、こうした血小板ではPSが露呈していることが示唆された。SMS2KOマウスではこれらの異常は観察されなかった。PSは網内系における血小板クリアランスのマーカーの一つと考えられており、SMS1KOマウスにおける血小板数の減少は破壊の亢進である可能性が推測される。また、ヒト急性前骨髄球性白血病細胞株のHL60細胞にSMを加水分解するsphingomyelinaseを添加した際にPSの細胞外への露呈が誘導されたことからも、SM合成・代謝がPSのフリップ・フロップに関与することが示唆された。
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Research Products
(6 results)