2008 Fiscal Year Annual Research Report
ニュートリノの質量を含む超対称性標準模型における物質の起源の解明
Project/Area Number |
08J08439
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高山 務 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | leptogenesis / ニュートリノ / 初期宇宙 / 超対称性 |
Research Abstract |
右巻きニュートリノを加えて拡張した超対称性標準模型(νMSSM)における、Affleck-Dine機構によるleptogenesisシナリオに関しては、スカラー場の運動としてスニュートリノとスレプトンの両方を数値計算で詳細に調べた。この結果、スニュートリノが最初に振動を開始してスニュートリノの粒子-反粒子非対称性を生成し、次いでこの振動するスニュートリノが湯川相互作用を介してスレプトンのポテンシャルを揺らすことでスレプトンも振動を開始して、最終的なレプトン数が生成されることが明らかになった。このシナリオは十分なバリオン数生成が可能でgravitinoの過剰生成を予言することから超対称性理論では厳しいと見られるthermal leptogenesis以外のバリオン数生成のシナリオ候補となる。宇宙のバリオン非対称性を決めているレプトン数は初めのスニュートリノの振動のみに依存するため、予言されるバリオン非対称性は湯川相互作用の強さに依存しない。この点は、非常に小さな湯川相互作用を要求するLHu-flat directionを用いたAffleck-Dine機構に比べて大きな利点となる。この研究に関しては昨年度中に大半を終えており、Journal of Cosmology and Particle Astrophysics 0711(2007)015に既に掲載されている。本年度はleptogenesisについて扱う範囲を広げ、インフレーションを起こす粒子からの崩壊で直接ニュートリノを生成し、ニュートリノの崩壊からレプトン数を生成するシナリオを考えた。このシナリオでは、ニュートリノの崩壊が適度に遅く、相対論的な時期に崩壊する場合に関して今まで詳細な検討がなされていない。今回の研究では、この場合も含め広いパラメータ領域でこのシナリオを調べ、新しく指摘した領域では熱的に生成されるgravitinoだけでなく非熱的に生成されるgravitinoの問題も回避する可能性があることを示した。特に、非熱的gravitinoの議論から厳しい制限が与えられるhybrid inflationを救う可能性がある点が興味深いシナリオであることが判明した。
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Research Products
(4 results)