2008 Fiscal Year Annual Research Report
東アジア地域における上部マントルの地震学的構造の決定
Project/Area Number |
08J08469
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
利根川 貴志 The University of Tokyo, 地震研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 地震波干渉法 / マントルへの水輸送 / 実体波の抽出 |
Research Abstract |
本年度は大きく分けて二つの研究を論文にまとめた。ひとつはマントル遷移層に水が流入している可能性を示した論文で、これは2008年の秋頃に国際誌に掲載された。もうひとつは地震波干渉法を用いてフィリピン海スラブのイメージングを行った論文で、こちらは現在投稿中である。以下では、それぞれの研究について、それらの意義と今後の方向性について述べる。本研究では、Hi-net傾斜計記録を使用し、スラブの上に存在する含水鉱物がマントル遷移層まで達している可能性を示した。しかし、現段階ではまだ傾斜層によって波線が曲げられるという影響を考慮していない。今後は、この影響も考慮に入れた上で、上記の不連続面の位置関係を明らかにし、さらにスラブ内部の構造にも言及することができればと考えている。近年、2点間で観測されるノイズの相互相関をとることで、その間を伝わる波動場を抽出することができるという手法が注目されている。しかし、問題点してはこれまでの研究では実体波が検出されず表面波しか検出されなかった。本研究では、Hi-net傾斜計で観測された遠地地震の相互相関をとり、実体波の検出を試みた。その結果、得られた相互相関関数にはその2点間を伝わるP,S波およびフィリピン海プレートからの反射波を検出した。今後は、(1)実体波・表面波がでる条件とはどういうものか、という手法に関する進展と、(2)不均質性の強い場所で実際(スラブなど)の構造をイメージングできる、という構造に関する進展の二つが期待される。
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Research Products
(4 results)