2008 Fiscal Year Annual Research Report
サルエイズモデルにおけるCTLエスケープ変異体の解析
Project/Area Number |
08J08476
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
稲垣 奈都子 The University of Tokyo, 大学院・医学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | HIV,SIV / 代償性変異 / 複製能 / capsid / 変異体 |
Research Abstract |
本研究は、サルエイズモデル(SIV)に対する特異的免疫反応を誘導できるワクチンを開発することにより、そこで得られた情報をヒトエイズモデル(HIV)に対する感染予防ワクチン開発に還元することが目的である。具体的には、サルエイズモデルでの個体実験において認められたSIV特異的免疫反応を回避するウイルス変異をウイルス学的両観点から解析し明らかにする。 エピトープ特異的CTLの誘導がエイズウイルス複製制御に結びつくことが過去の研究により明白だが、同一エピトープを有するSIVmacとSIVsmEではウイルス複製能が異なった。この差違はgagの205番目に依存していることがこれまでの研究成果により分かっている。SIVmac239感染性分子クローンを基にGag205番目をDからEに置換した変異体を作成した。このアフリカミドリザル由来のCOS細胞株およびヒト細胞由来のHeLa細胞株に遺伝子導入し、各々のウイルスストックを作製した。これらのウイルスをアカゲザル由来のT細胞株およびヒト由来のT細胞に感染させたところ、野生型に比べ変異型ではウイルス増殖の低下を確認した。そして、サル細胞でもヒト細胞間においても複製増殖伝播能の差は認められ、宿主非依存的な現象であると考えられる。そこで、SIVmac239とSIVsmE543-3のキャプシド内の異なるアミノ酸について、各々をSIVsmE543-3配列に置換する変異をSIVmac239Gag205に加えたダブルミュータントを作成した。このダブルミュータントを同様に、サルおよびヒトT細胞株に感染させたところ、シングルミュータントでは低下した複製能が両細胞ともに回復することが判明した。ウイルスのライフサイクルは複雑である。とりわけ、HIV、SIVを代表とするレトロウイルスのライフサイクル内の詳細な現象は、ブラックボックスが多いのが現状である。現在、Gag205変異体で低下する複製能がどこにそして何に起因するのかを、検討中である。
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Research Products
(3 results)