2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J08487
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
宇留賀 和義 Nagoya University, エコトピア科学研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 高レベル放射性廃棄物 / ガラス固化 / 地層処分 / TALSPEAK法 / マイナーアクチニド / 溶媒抽出 / HDEHP / 乳酸 |
Research Abstract |
使用済核燃料の再処理によって発生する高レベル放射性廃棄物からマイナーアクチニド元素(MA)を分離することは,廃棄物発生量の低減や地層処分の安全性向上につながることに加え,核燃料資源の利用率向上に寄与する可能がある.MAの分離法として最も成熟した技術の一つに,溶媒抽出法であるTALSPEAK法があるが,有機相-水相間の金属の分配挙動は複雑であり,モデル計算による分配の予測は全くできない状態にある.本研究では,分配挙動の解明に必要と考えられる,高濃度乳酸ナトリウム溶液からの金属分配挙動について調べた.有機相には,リン酸系抽出剤であるHDEHP (Diethylhexyl phosphoric acid)を使用し,金属にはMAと分配挙動が類似のEuを用いた.HDEHP濃度を変化させた試験より,0.01M以下程度の低HDEHP濃度領域では,乳酸ナトリウムを含まない系と同様にEu^<3+>+3(HDEHP)_2⇔Eu(DEHP)_3(HDEHP)_3+3H^+の反応によりEuは抽出されたが,実用上重要となる高濃度領域では,上記反応から予測されるEu分配比([Eu]_<org>/[Eu]_<aq>)よりも実験値が減少することがわかった.また,この分配比の減少はトレーサー量から10mMまでのいずれのEu濃度においても確認された.Eu分配比の減少理由を明らかとするため,Naの有機相への分配によるEuとの競合について検討を行った.この結果,Na分配比はEu分配比と比べて小さな値であったが,系に多量に存在するため,EDEHPの一部がNaの抽出に消費され,Eu分配比を減少させる要因となっていることがわかった.一方で,Eu分配比の減少を完全に説明するには,乳酸の分配や,分配に伴う抽出平衡定数および活量の変化を検討する必要性が示唆された.
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Research Products
(2 results)