2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J08487
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
宇留賀 和義 Nagoya University, エコトピア科学研究所榎田研究室, 特別研究員(PD)
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Keywords | 高レベル放射性廃棄物 / ガラス固化 / 白金族 / モリブデン / 銅 / 抽出 / 地層処分 / イエローフェーズ |
Research Abstract |
使用済核燃料の再処理によって発生する高レベル放射性廃液を安全に地層処分するためには,廃液を長期的に安定なガラス固化体とすることが必要不可欠である.廃液に含まれる元素のうち,白金族およびMoは,ガラスから析出し,固化体の製造妨害や水への溶解性の増加などの問題を引き起こす要因となる.よって,継続的に安全なガラス固化体を作製するためには,これらの元素をガラスから分離除去する技術の開発が重要となる.本年度は,溶融したガラスに含まれる白金族およびMoを,空気雰囲気下において,溶融したCuへと抽出し,ガラスから分離除去する技術について研究を行った空気雰囲気下では抽出剤であるCuが酸化してしまうため,還元剤であるSiをCuに化合させたCu_5Siを抽出剤として使用することとした.熱重量分析の結果,1000℃以下の温度範囲において,Cu5_Siの酸化速度は十分に遅く,空気雰囲気下においてもCuを良好に金属状態に保持できることを明らかとした.白金族の代表としてPdを使用し,Pdを含むホウケイ酸ガラス粉末にCu_5Siを混合して1200℃で4時間加熱した結果,Pdの82%を抽出し,金属塊としてガラスから分離除去できた.また,Cuについても,投入量の87%を金属塊として分離できた.MoO_3の溶解したホウケイ酸ガラスからもCu_5Siを使用することで,Moを抽出できることを示した.Moの抽出率は,還元剤としてSiを別途ガラスへ添加することで増加し,最大で68%を抽出分離できた.このときのCuの除去率は95%であった.これらの除去率は,いずれもAr雰囲気下での除去率と同程度であり,Cu_5Siを使用することで,より実用に近い空気雰囲気下においても,白金族およびMoを効率よく除去できることがわかった.これらの結果は,2009年10月に米国で開かれる国際会議Materials Science&Technology 2009において発表する計画である.
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