2008 Fiscal Year Annual Research Report
PDDを有する非行少年の背景要因の解明と発達的支援システムの開発
Project/Area Number |
08J08503
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
北 洋輔 Tohoku University, 大学院・教育学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 広汎性発達障害(PDD) / 少年非行 / 背景要因 / 発達的支援システム / 発達障害 / 実証的実践(EBP) |
Research Abstract |
本研究は広汎性発達障害(PDD)のある非行少年の背景要因を解明し、発達的支援システムを開発することを目的としている。本年度は背景要因の解明に焦点化し研究を遂行した。 1.背景要因の明確化:当該領域の先行研究に対して文献検討を実施した。PDDのある非行少年には共通して、障害特性と密接に関わる危険因子(risk factor)と障害を取り巻く環境の危険因子が確認された。しかしながら、非行の保護因子(protective factor)に着目した研究は希有であった。PDDのある非行少年に対して、支援を確立するためには、危険・保護の両因子からアプローチする必要性が示された。また、対象児の内面世界での両因子の影響について考慮することが、今後の支援において重要と考えられた。これまで、保護因子及び内面世界への着目の必要性を指摘した研究はなく、今後の支援実施にむけて重要な観点を提示したものと思われる。 2.背景要因の解明への取り組み:PDDのある非行少年に対してナラティブ・アプローチを用いた半構造化面接を実施した。その結果、(1)危険因子を潜在的に有していても、保護因子が影響している時期は、非行行動の発現がみられないこと(2)保護因子の弱体化が進むと、危険因子が顕在化し、非行行動に結びつきやすいこと(3)環境に関わる危険因子の影響は、保護因子の影響を強く受けやすいこと、が示された。この取り組みは、危険・保護の両因子を対象児の内面世界に基づいて解明したもので、先駆的な取り組みと考えられる。また、非行行動発生時だけに着目するのではなく、発達という視点をふまえて支援システムを構築する重要性を示したものと思われる。
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Research Products
(3 results)