2010 Fiscal Year Annual Research Report
低質量星まわりのハビタブル・ゾーンにおける地球型惑星形成
Project/Area Number |
08J08528
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
荻原 正博 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 惑星形成 / 数値計算 / M型星 / 地球型惑星 |
Research Abstract |
本研究の目的は、低質量星のまわりのハビタブル・ゾーンでの地球型惑星形成を調べることである。具体的には、M型星におけるハビタブル・ゾーン周辺において5000体程度の微惑星の軌道計算を行い、惑星の合体成長や軌道進化を調べ、最終的に形成する惑星系の性質を明らかにする。昨年度までに、重力多体専用計算機用の計算コード開発は終了しており、5000体規模のN体シミュレーションを行っている。計算の結果、微惑星は円盤ガスから重力的な抵抗を受けることによって、円盤内を中心星方向に素早く移動し、最終的に数個の惑星が中心星のごく近傍に形成することがわかった。また、それらの惑星はほぼ確実に平均運動共鳴状態にあり、それによって系が安定化されている為、円盤ガスが散逸した後も安定でい続け、衝突を起こすことはないことがわかった。ところで、近年発見され始めた中心星近傍に存在するスーパーアースからなる惑星系は、互いの惑星同士が平均運動共鳴状態にはなく、これまでの計算結果と矛盾する。そこで、今回中心星方向に移動する(タイプ1惑星移動)速度が遅いと観測結果を再現できる可能性を考え、これまでの線形論で見積もられている値よりも10-100倍程度遅くして計算を行った。その結果、惑星は一旦は平均運動共鳴状態で形成するが、それらの個数はこれまでの計算結果よりも多く、円盤ガスの散逸とともに系は不安定化し、衝突合体を起こした。最終的に、数個の惑星が平均運動共鳴状態からは外れて形成することがわかった。 また、当該年度は更にハビタブル・ゾーン内で水を保持する惑星の形成確率を調べる為に、氷境界以遠からハビタブル・ゾーンへの水の輸送を考慮に入れたN体シミュレーションを行った。シミュレーションの結果、惑星移動速度が遅い場合でも一定量の水が中心星近傍まで輸送されることがわかり、M型星周りのハビタブル・ゾーンにおいて、水を持つ惑星が形成する確率は従来の見積もりよりも大きいことが示された。
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Research Products
(4 results)