2010 Fiscal Year Annual Research Report
VERAによる銀河系シェルの3次元的運動の解明と回転曲線の高精度計測
Project/Area Number |
08J08530
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐藤 眞弓 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | VLBI / 電波干渉計 / 年周視差 / メーザー |
Research Abstract |
報告者は本年度、VLBI電波干渉計を用いて大質量星形成領域の年周視差(距離)を高精度で計測し、銀河系の渦状構造と円盤の回転運動を測定する研究を行った。VERA望遠鏡とVLBA望遠鏡を用いて、銀河系いて座腕に付随する大質量星形成領域4天体の22GHz水メーザー源の年周視差を高精度で検出した。計測した距離は、G14.33-0.64が1.12±0.13kpc、W51 Main/Southが5.41+0.31-0.28kpc、OH43.8-0.1が6.02+0.27-0.24kpc、G45.07+0.13が5.95+0.38-0.33kpcである。G14.33-0.64の距離から、いて座腕までの距離は運動学的距離の半分の約1kpcと考えられる。W51の距離から幾何学的に、銀河系中心までの距離をR_0=8.3±0.46±1.0kpcと見積もった。さらに、VERAとVLBAによる最新結果から31の星形成領域に基づき、渦状腕の位置と銀河回転に対する運動を求め、LSRにおける銀河系回転速度を、Theta_0=233±9km/sと求めた。また、渦状腕の巻き込み具合を示すピッチ角を、3つの銀河系渦状腕(いて座腕、ペルセウス腕、オリオン腕)それぞれについて求めた。いて座腕とペルセウス座腕のピッチ角は銀河系の4本腕モデルとよく一致している。オリオン腕はおそらく、いて座腕からW51やG45.07+0.13の位置付近で分岐していると考えられる。あるいは、もう一つの可能性として、いて座腕がより内側の渦状腕から大きなピッチ角で分岐していることも考えられる。後者の解釈は、最新の数値シミュレーション結果ともよく一致する。以上、本研究では、大質量星形成領域の正確な年周視差(距離)計測に成功し、その結果にもとづく銀河系腕構造と回転運動の議論を進めた。
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Research Products
(2 results)