2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J08536
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
氣駕 恒太朗 The University of Tokyo, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 細菌感染 / microRNA / バイオインフォマティクス / 発癌 |
Research Abstract |
microRNAは細胞内での発現変化により、その標的遺伝子量を調節し、さまざまな生物学的現象を引き起こす。しかしながら、細菌の感染現象でのmicroRNAの役割はほとんど解明されていない。菌の感染にmicroRNAが関与していることを知るためには、菌の感染で発現変化するmicroRNAを見出す必要がある。昨年度の研究では、microRNAをマイクロアレイにより網羅的発現解析を行い、赤痢菌感染、ピロリ菌感染、結核菌感染それぞれで発現変化するmicroRNAの同定を行った。中でも、胃癌発症の主要因の一つとして知られるピロリ菌の感染で制御される宿主細胞内microRNAの誘導率が非常に高く、さまざまなな胃上皮細胞でも発現誘導が確認されたため、集中的に研究を行うことにした。In vitroでの実験から、本microRNAのプロモーター領域を同定し、ピロリ菌が産生する活性酸素(ROS)依存的に誘導されていることが判明した。microRNAはさまざまな遺伝子を、配列特異的に標的とし、その機能を果たしていると考えられていることから、細菌の感染で発現が変化する本microRNAの標的遺伝子を探索した。バイオインフォマティクス、マイクロアレイのそれぞれからのアプローチにより、いくつかの標的遺伝子を同定した。中でも、胃癌抑制遺伝子として知られるRUNX3は、in vitro、in vivoでも本microRNAに抑制されていることを示唆するデータを得ることができた。また、本microRNAの機能として、細胞増殖抑制能を確認されたため、細菌による発癌メカニズムの一端に本microRNAが関与していることが強く示唆された。
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