2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J08575
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
倉方 健作 Waseda University, 文学学術院, 特別研究員(PD)
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Keywords | フランス詩 / 象徴主義 / 19世紀末 / ヴェルレーヌ / マラルメ / 高踏派 / 文壇 |
Research Abstract |
本年度も前年度に引き続き、まずは研究課題の対象となる1880-90年代の詩人に関する文献を中心として、個々の作家の文学観と実作品を確認する作業を行った。また、この作業と並行して、当時の文芸誌や、文学者を対象としたアンケートを調査の対象とすることで、そこにあらわれる「文壇」の姿を明確にすることを目的とした。本年度の調査の途上では、フランス国立図書館のインターネットサイトGallicaがさらなる充実を見せた。このことによって、フランスでの現地調査等を行うことなく、多くの文献、ならびに複数の日刊紙を参照することが可能となった。また当時の文芸誌に関しては、上記Gallicaでの参照のほか、受入研究機関である早稲田大学図書館が所蔵する『プリューム』誌、『ルヴュ・ブランシュ』誌の全号のリプリントを実際に手に取って調査を行った。これらの調査の結果、当時の文芸誌においては個々の作家の傾向や個人性は雑誌の傾向の中でときに増幅される場合、あるいは逆に捨象される場合があり、個人名で出版される作品とは異なる位相を持つ場合が多く見られる事実が明らかとなった。この視点を導入する際に重要となるのは、やはり「文壇」の存在とその機構の把握であり、並行しておこなった文芸アンケートの調査がこれを補完することとなった。なかでも、当初から本年度の作業の軸となることが期待されていた1891年のジュール・ユレの『文学の進展に関するアンケート』に関する調査は、そこで対象となっている個々の作家の作品の読解と併せることで、当時の「文壇」の姿を現前させるとことに結びついた。この調査の成果は、マラルメやヴェルレーヌを奉じるいわゆる「象徴主義」の世代と「高踏派」の相克と影響関係の考察として、2009年度の日本フランス語フランス文学会関東支部大会における研究発表となって示された。
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Research Products
(1 results)