2008 Fiscal Year Annual Research Report
ゲージ対称性を利用した古典及び量子スピングラスの解析
Project/Area Number |
08J08577
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
小渕 智之 Tokyo Institute of Technology, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | スピングラス / レプリカ法 / レプリカ対称性の破れ |
Research Abstract |
本研究の目的は、スピングラスの新たな性質を見出すことと、新たな解析手法の確立にある。本年度は、ゲージグラスの解析を中心に行う予定であったが、最も良い成果が出たのは、イジングスピングラスに関する解析的研究であった。イジングスピングラスの平均場モデルは、これまでにレプリカ法、Cavity法などを用いてよく研究されその熱力学的な性質はかなり良く理解されている。しかしその一方で、レプリカ法を用いての解の構成法は発見法的であり、解釈のついていない部分が多く、現在もそれについての議論が続いている。また、有限次元系において、レプリカ対称性を始めとする平均場描像が成り立つかどうかは、スピングラス理論において非常に重要な問題でありながら、未だ決着がついていない。我々は、レプリカ法の物理的、数学的な意味づけを試みることで、この問題の基礎付けを行った。 具体的には、レプリカ数を複素数に拡張したときの分配関数のn次モーメントの解析性を調べ、レプリカ数に関する相転移が存在することを明らかにした。また、それとレプリカ対称性の破れとの関連を議論し、レプリカ対称性の破れの特異性の現れ方についての可能性を限定することができた。これによってレプリカ対称性の破れに新たな視点を与えることができた。また、我々が行った解析は、主に平均場モデルに対してのものであるが、原理的に我々の手法は有限次元系に拡張することができ、有限次元のスピングラスに対する新たな解析法を与えているという意味でも、重要である。
|
Research Products
(3 results)