2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J08583
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐々木 克博 The University of Tokyo, 大学院・新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | プロテアソーム / 胸腺 |
Research Abstract |
本研究の目的はCD8T細胞の発達に寄与する胸腺プロテアソームの役割を解明することである。 胸腺特異的プロテアソームサブユニットであるβ5tを不死化したマウス繊維芽細胞で発現させ、更にIFN-γによる刺激を与えることで胸腺プロテアソームを単層培養細胞において恒常的に作製することを可能にした。今まで、胸腺から採取できる僅かな皮質細胞が胸腺プロテアソームの供給源であり、そこから調整していたことを考えれば細胞株を使用することにより容易かつ大量な調整が可能となった。 次にこの細胞の膜上に発現しているMHCクラスI-ペプチドの複合体を免疫沈降により精製し、さらに酸によるタンパク変性によりペプチドのみを溶出、単離した。続いて、これらペプチドの配列をnano-LCとタンデムMS/MSを用いて網羅的に同定した。結果、β5tを加えた細胞株で発現しているMHCペプチドでは配列内の特定の部位に一定のアミノ酸が頻出する傾向が見られた。また特定基質を用いて精製した胸腺プロテアソームの分解アッセイを行ったところMHCペプチドで見られる特徴的な配列の近傍において高いプロテアーゼ活性を示していることを見いだした。これらの結果は胸腺皮質において他の細胞とは異なる分解様式を持つことが示唆され、分解を受け産生されたペプチドがCD8T細胞に影響していると仮定している本研究の目標に大きく前進したと思われる。 また、胸腺皮質以外の免疫関連組織でもβ5tが発現するマウスを作製するべく組み換えES細胞の同定まで本年度中に行うことが出来た。このマウスの解析は細胞で提示されるペプチドのレパートリーが個体の免疫制御に及ぼす根本的なしくみを解明できるものと期待される。
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