2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J08680
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
モハッメド バドルル A The University of Tokyo, 大学院・新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 転写開始点 / 遺伝子発現量 / 5'SAGE / 発現パターン / 発現クラスタリング / Aggregated Index / 選択的プロモータ |
Research Abstract |
機能ゲノム学において転写開始点および転写量を網羅的に分析することは重要なテーマである。近年、転写開始点の解析に5'SAGE(Serial Analysis of Gene Expression)法はきわめて重要な役割を果たしてきている。5'SAGEを使ってmRNA(メッセンジャーRNA)の転写開始点から下流に数十DNA塩基を切断(以下5'末端配列と呼ぶ)する。5'SAGE法を少し改良し、次世代型シークエンサーの一つであるIllumina/Solexaに適用できる新しい方法も橋本博士らによって開発された。新方法では転写開始点を含んだ遺伝子全体の発現量を網羅的に、しかも幅広いダイナミックレンジで測定できるようになった。今まで曖昧にされてきた低頻度の発現遺伝子の変化も正確に測定可能になった。技術革命により、いままでと違った現象を詳細に観測できるようになってきた。我々はこの手法をもちいて、キイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)の7つのサンプル(胚、幼虫、未成熟/成熟・雄/雌、培養細胞S2)から5'末端配列を収集し、2,500万タグのゲノム上での位置を決めた(3塩基までのミスマッチを許容)。転写開始点は唯一つではなくある程度の幅をもって分布し、異なるサンプル間で分布は類似している場合もあれば、異なっている場合もある。転写開始点の分布を定式化して発現クラスタリングを解析する。転写開始点の分布を定式化する方法として、Aggregated Index(AI:集約指標)を提案する。本指標は"0"から"1"までの値を持つ。"1"に近いほど、5'末端配列(発現量)が一点の転写開始点に集中していて、"0"に近いほど、転写開始点が異なる発現量を持って、互いに離れていることになる。この集約指標を利用して初期胚から成熟されるまでとオス・メス間に転写開始点の分布が変化する遺伝子と変化しない遺伝子群をクラスタリングする。発現パターンに従って、クラスタリングをさせる方法は遺伝子発現の制御や機能ゲノム研究に役立つでしょう。
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