2009 Fiscal Year Annual Research Report
反発性神経軸索誘導を制御するマクロピノサイトーシスの分子機構
Project/Area Number |
08J08681
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田中 さやか The University of Tokyo, 医学部附属病院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | マクロピノサイトーシス |
Research Abstract |
研究代表者は現在、理化学研究所・発生神経生物研究チームに出向して研究活動を行っている。これまでに、反発性神経軸索誘導にマクロピノサイトーシスが重要な役割を果たしていることが解明されている。当チームでは既に、重要関連分子としてシンタキシン1を同定している。そこで研究代表者は、シンタキシンに結合する新規蛋白質を同定することで、一連の現象の制御メカニズムを解明しようと試みている。 マクロピノサイトーシスを制御するシンタキシン1新規結合蛋白を同定する過程で、研究代表者は平成20年度の研究期間最後に、従来から知られる膜輸送システムを制御しうる新規のシンタキシン1結合蛋白を複数発見した。そのうちの一つが、非常に興味深い蛋白であったため、平成21年度はこの蛋白(以下タンパク質Aとする)について解析を進めた。 研究代表者はまず、この蛋白-蛋白間相互作用において必要な、シンタキシン1配列内の結合部位を決定した。続いてタンパク質Aの配列内の結合部位を同定しようと試みた。しかしこのタンパク質Aの部分配列をGST蛋白に融合させた組み替え蛋白は分解しやすく、大量精製が大変困難であった。そこで実験系を工夫して新たに再構築し、ついに部分配列の全長をそれぞれ精製することに成功した。こめ精製蛋白を使用し、タンパク質Aの配列内の結合部位を同定することが出来た。 また並行して、シンタキシン1とこの結合蛋白の相互作用が、細胞内のどのような刺激で膜輸送に関与するか調べるため、培養細胞に蛍光蛋白を発現させるアッセイ系を立ち上げた。その結果、このタンパク質Aが確かに膜輸送を制御することを指し示す結果が得られた。 蛍光蛋白を利用したこのアッセイでは定性的な評価はできるものの、時間軸を含めた詳細な評価が難しい点も多い。そこで、平成21年度研究期間の最後期から、定量的な評価が可能なin vitro評価系を立ち上げ始めている。 (以上の報告中の「新規シンタキシン結合蛋白」については、それがシンタキシン1との相互作用によってもたらすと予想される生理学的意義が、生物学的にも新たなパラダイムを投入出来る可能性を秘めている。研究の新規性・重要性が大変高いと判断されるため、現状ではタンパク質の名前やアッセイの詳細を伏せての報告とさせて頂くことを許して頂ければ幸いである。
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