2010 Fiscal Year Annual Research Report
反発性神経軸索誘導を制御するマクロピノサイトーシスの分子機構
Project/Area Number |
08J08681
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田中 さやか 東京大学, 医学部附属病院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 開口分泌 / シンタキシン / イノシトール1,4,5-三リン酸受容体 / カルシウム |
Research Abstract |
これまでに、反発性神経軸索誘導にマクロピノサイトーシスが重要な役割を果たしていることが報告されており、重要関連分子としてシンタキシン1(stx1)が同定されている。そこで、stx1に結合する蛋白質を探索し、一連の現象の制御メカニズムを解明しようと試みた。この過程で、研究代表者は平成20年度末に、イノシトール1,4,5-三リン酸(IP3R)がstx1に結合することを発見した。IP3Rは、細胞内に存在するカルシウムチャネルであり、そのチャネル活性を介して膜輸送システムを制御すると考えられている。そこで、stx1とIP3Rの関連について解析を進めた。平成21年度末までに、IP3Rのstx1配列内の結合部位を決定した。さらに、困難の伴ったIP3Rの部分配列組み替え蛋白を大量精製することに成功した。この精製蛋白を使用し、平成21年度末から平成22年度にかけて、IP3R配列内のstx1結合部位を同定した。さらに平成22年度には、IP3Rとstx1が直接結合することも明らかにした。 次に、stx1がIP3Rに及ぼす影響について検討を行うため、培養細胞を用いた生細胞カルシウムイメージングによる機能解析を試みた。その結果、stx1によってIP3Rのカルシウムチャネル活性を抑制することを初めて明らかにした。 既に、マクロピノサイトーシスも細胞内カルシウム濃度により制御されている可能性があることが見出されている。したがって、本研究で発見したstx1とIP3Rの結合、そしてstx1によるIP3Rのカルシウム放出能の制御は、マクロピノサイトーシスの重要な調節機構となっている可能性がある。今後、stx1とIP3Rの結合がマクロピノサイトーシスに与える影響が詳細に検討されることが必要であるが、本研究は細胞の膜輸送機構を制御する新規のシグナル伝達機構の解明につながる、重要な発見を達成できたと考えている。
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Research Products
(1 results)