2008 Fiscal Year Annual Research Report
社会的拒絶への対処行動の規定因-2者関係の性質に注目して-
Project/Area Number |
08J08727
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
宮崎 弦太 Osaka City University, 大学院・文学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 社会的拒絶 / 対処行動 / 関係相手からの受容予期 / 関係喪失のコスト |
Research Abstract |
本研究の目的は、どのような2者関係において、相手から拒絶されたときに、攻撃などの関係を破壊するような対処行動ではなく、話し合いなどの関係を修復するような対処行動が用いられやすいかを明らかにすることであった。本年度の研究では、ある関係を失ったときに自己が被る損失、つまり、関係喪失のコストが拒絶への対処行動の選択に及ぼす影響を検討するため、大学生を対象に場面想定法を用いた2つの質問紙調査を行った。 その結果、1.ある親友関係の喪失コストが高いほど、相手からの被拒絶場面でネガティブな感情を強く経験し、そのネガティブな感情経験によって関係を修復するような行動が促進され、関係を破壊するような対処行動は抑制されること、2.1の傾向は、特定の他者から拒絶されたときにその代替相手を見つけることが相対的に困難な環境、つまり、ネットワーク密度が高い環境において顕著に認められることが明らかとなった。 以上の結果は、社会的拒絶という他者との繋がりへの脅威に直面したとき、それによって自己が損失を被らないように、私たちは関係やそれを取り巻く社会的環境の性質に応じて拒絶への対処行動を柔軟に選択していることを示唆している。これは、どのような要因によって拒絶への行動傾向が規定されているのかという近年の社会的拒絶研究の主要な議論に新たな視点を提供するものであり、また、私たちが持つ拒絶への反応システムの適応的な性質を明らかにする上でも重要な知見と考えられる。
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Research Products
(2 results)