2009 Fiscal Year Annual Research Report
主体間の意思疎通構造が財の配分に及ぼす影響に関する理論的分析
Project/Area Number |
08J08748
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
近郷 匠 Waseda University, 経済学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 特性関数系ゲーム / グラフ構造 / 提携構造 / マイヤソン値 / ポジション値 |
Research Abstract |
複数主体が互いに意思疎通しながら行動を調整,協調的行動を達成したことから得られる成果を主体間でどのように配分するかという問題を理論的に考察した.このような問題は現実社会では国家間の地域経済ブロック形成問題や,政治家の政党形成および政党の連立形成問題,共通施設の建設費用分担問題のように経済的・社会的に重要な問題である.こういった複数主体間の協調成果配分問題はしばしば「(譲渡可能効用を前提とした)特性関数系ゲーム」として定式化・分析される.本研究ではこういった問題における各主体の意思疎通構造や集団構造に注目するため,従来の特性関数系ゲームに主体間の意思疎通構造を表現したグラフ構造や,集団構造を表現した提携構造を導入し,より一般化されたモデルにおいて,これらの構造を適切に反映させた望ましい利益配分方法を考察した.成果として,第一にグラフによる意思疎通構造のみが導入されたモデルにおいて,二つの異なる配分ルール,マイヤソン値およびポジション値を,グラフ構造から構成した提携構造の有無という観点から統一的に特徴付けた.これにより両者の共通点・相違点が明確になり,新たな視点からの両者の比較が可能となった.第二に主体間の意思疎通構造および集団構造が同時かつ相互依存的に存在する構造を新たに定式化し,そういった環境における配分ルールを定義,その特徴付けを行った.この新しい構造は与えられた集団構造の内部で各主体が互いに意思疎通をし,外部の主体とは同一の集団に含まれる全主体がまとまって意思疎通するという階層的な構造である.配分ルールは集団内・外にそれぞれ独立に適用したルールを複合するため階層性に強く依存するようにみえるが,集団構造から導かれる主体間の非対称性を導入した非対称な配分ルールを階層性のない意思疎通構造に適用したものと一致する
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Research Products
(6 results)