2010 Fiscal Year Annual Research Report
固体表面上における水分子の吸着状態および反応に関する分子レベル解析
Project/Area Number |
08J08759
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
本林 健太 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 走査トンネル顕微鏡 / 振動分光 / 水 / 金属表面 / 絶縁体薄膜 |
Research Abstract |
アクションスペクトルは、表面に吸着した分子の振動を単一分子レベルの空間分解能で検出する走査トンネル顕微鏡(STM)を用いた実験手法である(STM-AS)。昨年度・一昨年度はこの実験結果の定量的な解析手法を開発し、振動エネルギーの精度良い決定を可能にした。今年度は、本解析手法をまとめた論文をPhysical Review Lettersに掲載することができた。 そして今年度、Pt(111)及びPd(111)上の水分子に関して、モノマー及びダイマーのSTM-ASの測定が完了した。Pt(111)とPd(111)は格子定数やdバンド占有率など良く似た性質を持つ。吸着水分子のSTM-ASも似た傾向を示すが、モノマーに関しては振動ピークの強度に違いがあり、ダイマーに関しては振動エネルギーの変化が観測された。ただし原因は調査中である。元々の研究目的であるPt(111)上における水ダイマーの高速な拡散のメカニズム解明は、実験で再現しなかったために断念した。 また、本解析手法を応用し、Ni(110)上のFormate分子のホッピング、及びCu(211)上のPropene分子の回転・ホッピングのSTM-ASの定量解析を行った。その結果、この解析手法を用いることで、重なった二つのピークを見分け、それぞれの振動エネルギーを決定できることがわかった。また、従来経験的に決定したものとは異なる値の振動エネルギーが求められた。これにより振動モードの帰属が変わるのであるが、我々の決定した振動モードのほうが、STM-ASの選択則の傾向や理論と照らし合わせて妥当であった。つまり、本解析手法によって、STM-ASは振動エネルギーや振動モードを正しく決定できるようになり、単一分子の振動分光手法として確立されたと言える。
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Research Products
(7 results)