2008 Fiscal Year Annual Research Report
イネ品種における花成時期の多様性をもたらす分子機構の解析
Project/Area Number |
08J08771
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
高橋 靖幸 Nara Institute of Science and Technology, バイオサイエンス研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | イネ / 花成 / 光周性 / 多様性 / 自然変異 / 塩基多型 / 穀物 |
Research Abstract |
イネ品種の花成時期の多様化は稲作地域の拡大や育種技術の発展に貢献した重要な形質の一つである。本研究では、栽培イネにおける花成時期の多様性をもたらす分子機構を明らかにする事を目的とし64品種の栽培イネ(イネコアコレクション)を用いて網羅的な花成関連遺伝子の発現解析およびシークエンス解析を行った。まず、コアコレクションの各品種を短日条件下で生育させた結果、花成時期は品種間で播種後45日から153日目と非常に幅広い多様性が見られた。各花成関連遺伝子の発現量と花成時期との関係を調べたところ、Hd3aの発現量と花成時期の間に強い相関関係があることを明らかにした。また網羅的なシークエンス解析を行った結果、Hd1ではタンパク質機能に重要とされるCCTドメインの一部または全てを失うような変異が多く見つかった。さらにこのHd1アリルの多様性は、花成時期及びHd3a発現量のそれぞれとの間に相関が見られた。また同様に、Hd3aプロモーター領域における塩基多型や、Ehd1における遺伝子発現の多様性においてもHd3a発現量および花成時期の多様性への関与が確認されている。さらに線形モデルを用いた統計的解析を行った結果、これら3つの要因で説明される花成時期の多様性の内、Hd1アリルおよびEhd1発現量の多様性による寄与がそれぞれ40%前後であることが示された。以上の結果は、春化応答を主な原因としたシロイヌナズナの花成の多様化機構とは大きく異なるものであった。この事から植物の生育地域の拡大および生育環境への適応において、それぞれの植物種では花成時期の多様化をもたらす際に異なった因子がターゲットとなった可能性が示された。
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Research Products
(6 results)