2008 Fiscal Year Annual Research Report
磁気回転不安定性の非一様な成長による原始惑星系円盤ガスの回転速度変化と微惑星形成
Project/Area Number |
08J08778
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
加藤 真理子 Tokyo Institute of Technology, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 微惑星形成 / 磁気回転不安定性の効果 / ダスト集積 / 計算プログラムの開発 |
Research Abstract |
本研究ではこれまで、原始惑星系円盤内で励起される磁気回転不安定性(Magnetorotational Instability:MRI)の成長率が円盤動径方向に異なる場合について電磁流体シミュレーションを行ってきた。その結果、磁場や円盤ガス電離度の分布によってMRIが起きない領域と起きる領域とが共存するとき、ケプラー回転状態とは別の準定常状態に移行することがわかった。MRIが起きなければ、ガスはケプラー回転速度よりやや遅く回転し、ケプラー回転をしているダストは角運動量を失い急速に原始星へ落下する(ダスト落下問題)。そして微惑星が形成されなくなる。しかし本研究で得られた結果では、ガスがケプラー回転より速く回転する領域(高速回転領域)が存在するため、その領域外端でダストが集積し微惑星が形成される可能性が考えられる。そこで、当該念度では電磁流体シミュレーションにダストとして粒子を加え、非一様に成長するMRIとその状態下でのダストの運動を調べた。まずダストの運動を全体的にとらえるために、ダストを仮想粒子(ガス抵抗を受けるがガスは粒子から抵抗を受けない)として扱った。その結果、ダストは確かに高速回転領域外端に集積し続けた。つまりダスト落下問題が解決された。ダスト密度の増加量は、ダスト落下問題で最も危険なサイズ(m)で特に著しく、ガス速度場を変化させうるほどであった。そこで次に、仮想粒子ではなくガスヘ抵抗を与える粒子として解くようにコードを開発した。つまりガス-粒子間の運動量交換も解く。その結果、ダスト密度は増加するものの、その増加量は仮想粒子の結果を下回り一定値に収束した。これは集積した粒子が周囲のガス回転速度を変化させるために起きることであり、ガス-粒子間の運動量交換を解いているからこそわかった結果といえる。ただし、ダストの速度分散は著しく小さく、密度増加量も自己重力不安定を起こすには十分であり、微惑星形成の可能性は高い。
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Research Products
(6 results)