2009 Fiscal Year Annual Research Report
半導体中の電子流を記述するモデル方程式間の階層構造の解析
Project/Area Number |
08J08785
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
鈴木 政尋 Tokyo Institute of Technology, 大学院・情報理工学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 半導体 / Drift-diffusion model / Quantum drift-diffusion model / 階層構造 / 古典極限 |
Research Abstract |
半導体中の電子流を記述するモデルとして,さまざまな方程式系が提案され実際にデバイスの設計に利用されています.特に,最近では半導体デバイスのナノレベル微細化や,ダブルゲート構造を持つMOSFETの開発に伴い,Quantum drift-diffusion model(QDDモデル)などが注目を集めています.一方,古典的なモデルであるDrift-diffusion model(DDモデル)なども,未だに設計に利用されており,これらのモデル方程式間の関係(階層構造)を解析することは数学的に興味深いだけでなく,工学的にも重要な問題です.なお,QDDモデルに含まれるプランク定数をパラメーターとみなし,形式的に0に近づけるとDDモデルが得られます(この極限操作は古典極限と呼ばれます). 本年度の具体的な研究成果としては,QDDモデルの時間大域解の古典極限の収束先がDDモデルの時間大域解となることを証明しました.その際,QDDモデルが放物型方程式を主要部とするDDモデルに近似されることを用いて,プランク定数を十分小さくすることにより,初期値の大きさに制限を課すことなくQDDモデルの時間大域可解性を示すことにも成功しました.また,既存の研究成果では,半導体の電気特性を決めるドーピング関数が平坦であることを仮定するなど,物理的に妥当だと思えない問題設定下で古典極限が解析されていましたが,本研究では一般のドーピング関数を扱うなど,物理的な要請を満たす設定下で極限の正当化に成功しています.
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Research Products
(7 results)