2008 Fiscal Year Annual Research Report
変化する環境への適応は如何にして可能か?-行動・生理の最適化メカニズムの解明-
Project/Area Number |
08J08793
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
木村 健太 The University of Tokyo, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 精神神経内分泌免疫学 / 最適化 / Feedback related negativity / 学習 |
Research Abstract |
採用第一年度目の研究目的は,不確実環境下においてヒトが状況の変化に伴い行動と末梢の生理反応(免疫系の変動,心臓血管反応,内分泌反応)をどのように調節しているか,さらに,それらの調節が中枢神経系における情報処理とどのように連動しているか確率学習課題を用いて検討することであった.これを検討するために採用第一年度目では,異なる強化確率の2刺激から刺激選択を求めて,その結果(報酬又は損失)を基により強化確率の高い刺激選択を求める確率学習課題を利用した.さらに,確率学習課題遂行中に観察され,状況のモニタリングを反映すると考えられている事象関連電位の成分であるフィードバック関連電位(Feedback-related negativity:FRN)を中枢での情報処理の指標として,心拍数を末梢神経系の指標として同時測定した.結果,被験者は試行錯誤しながらも試行が進む毎に2刺激のうちより強化確率の高い刺激を選択した.さらに,FRNの振幅値と心拍数より算出された心拍変動性の高周波成分(迷走神経系の活動を反映)に有意な相関が観察された.結果より,不確実な状況下においては状況のオンラインのモニタリングにより行動と迷走神経系が連動して調節されていることが明らかとなった.採用第一年度目では以上のように不確実環境下における基礎的な中枢-末梢の関連性を明らかとした.これらの基礎的な研究に立脚し,採用第二年度目以降は自律神経系だけではなく内分泌・免疫系の活動を研究するとともに,経験により形成された状況の予測がどのように学習行動とそれに連動する生理活動を調節するかを検討していく.
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Research Products
(4 results)