2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J08794
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
今泉 飛鳥 The University of Tokyo, 大学院・経済学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 日本経済史 / 産業集積 / 工業立地 / 機械工業 / 関東大震災 / 都市計画 / 都市化 |
Research Abstract |
本年度はまず、本研究の基礎データとなる工場名簿について、入力済みの機械器具金属工業部分に加え、化学工業、繊維産業部分の入力を完了。さらに、従来入力していなかった1925年、30年の工場名簿の入力も行った。これにより産業間の関わりが分析可能になるうえ、新たに2名簿を入力したことで一層詳細な時系列分析が可能となる。 また、東京府の産業集積に大きな影響を与えた関東大震災と都市計画政策に関する公文書を収集した。さらに重要なことに、当該期に東京市芝区に存在した機械工場(大塚工場)と、本所区に存在した鋳物工場(中箸鋳物工場)の経営資料を入手し、そのうちの一部はデータ入力を完了した。こうした経営資料は具体性の面で研究を大きく前進させる。 研究成果は主に以下の5件である。(1)当該期の産業立地動向の変化を全国規模で俯瞰した。これは研究代表者が参加する産業集積研究プロジェクトの一環でもあるが、本研究の分析対象を日本全体の動向の中に位置づけるうえで役立つ(社会経済史学会にて報告)。(2)明治後期の東京府機械関連工業集積において、工場の存続率が高かったことを実証(『歴史と経済』掲載)。(3)関東大震災によっても東京市の機械関連工業集積が消滅せず復興したことを分析(『社会経済史学』掲載決定)。(4)1920年代からの都市計画用途地域制による工場立地規制が部分的な効果しか持ち得なかったことを産業集積のメリットとの関連で分析(『経営史学』投稿中)。以上(2)から(4)の研究内容は、産業集積のメリット及び突発的なショックや継続的な制約に対する集積の反応を明らかにするもので、本研究の重要な部分を占める。(5)大塚工場の経営資料を用い、当工場を中心とする取引関係の広がりを産業集積の視点で分析(2009年4月の経営史学会関東部会において発表予定)。これは産業集積内の取引ネットワークを明らかにするもので、本研究の非常に重要な位置を占める。
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Research Products
(7 results)