2009 Fiscal Year Annual Research Report
窒素分子とアルカンの同時活性化による含窒素有機化合物の合成法の開発
Project/Area Number |
08J08799
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
服部 岳 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 銅 / 不斉合成 / 連続反応 / プロパルギル位置換反応 / 含窒素有機化合物 |
Research Abstract |
遷移金属触媒を用いた触媒的アリル位置換反応は、対応するエナンチオ選択的な合成反応を含めて、現在では最も信頼性のある有用な合成反応の一つとなっている。対照的に、触媒的プロパルギル位置換反応は、位置選択性による反応制御の困難さのため開発が遅れていた。そこで本研究では、遷移金属錯体を触媒として用いる事により、ヘテロ原子求核試薬を用いたエナンチオ選択的プロパルギル位置換反応の開発に取り組んだ。 新しい含窒素有機化合物の合成法の確立を目指した本研究による検討の結果、昨年度までに、銅触媒を用いたエナンチオ選択的プロパルギル位アミノ化反応の開発にすでに成功している。この反応では、種々のプロパルギルアセテートとアミンとの反応により、プロパルギルアミンが高収率かつ高エナンチオ選択性で得られる。これはエナンチオ選択的プロパルギル位アミノ化反応を達成した初めての例であり、幾つかの実験結果及び理論計算の結果は、これまで提唱されてこなかった新しい有機金属錯体である銅アレニリデン錯体を反応中間体として経由して進行する新しい触媒反応であることを示唆していた。 今年度においては、本不斉プロパルギル位アミノ化反応のさらなる拡張を目指した。その結果、「速度論的光学分割によらないラセミ体のエチニルエポキシドの不斉開環反応」および「プロパルギルアミノ化反応及び環化付加反応を連続的に用いた不斉合成反応」という2つの新規反応の開発に成功した。 特別研究員二年間の研究において、銅錯体を不斉触媒として用いることで、エナンチオ選択的な不斉プロパルギル位アミノ化反応を初めて達成すると共に、その反応機構に関して詳細な検討を加えることにより、銅触媒を用いた新しい有機合成反応の開発に成功した研究成果を上げることができた。本研究で得られた知見は有機合成化学の更なる発展に大きく寄与するものであると考えられる。
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Research Products
(4 results)