2009 Fiscal Year Annual Research Report
1965~1975年における日本人のヴェトナム戦争観
Project/Area Number |
08J08801
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
岩間 優希 Ritsumeikan University, 先端総合学術研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ジャーナリズム / ヴェトナム戦争 / 戦争報道 / ヴェトナム報道 / オーラルヒストリー |
Research Abstract |
1、ウェトナム戦争報道前史の研究 日本のヴェトナム報道が本格化する1965年以前の報道として、1963年に起こったヴェトナム仏教徒の焼身事件を例に、同事件が日本でどのように報じられたかを分析した。その結果、その後の記憶とは異なり、当時、焼身事件がほとんど注目されておらず、後になって記憶が改変されたことを実証した。 2、大森実のヴェトナム報道 毎日新聞外信部長として日本のヴェトナム戦争報道を率いた大森実について、彼のヴェトナム報道、ヴェトナム戦争観などを考察。日本のマスメディアによるヴェトナム報道全体とも関連付けながら、彼のヴェトナム戦争理解の変遷について明らかにし、その論理構造を浮き彫りにすることができた。 3、開高健のヴェトナム報道 小説家の開高健は、日本のヴェトナム報道の中でも特異な位置にあった。また、ヴェトナム戦争の現場を見た数少ない文化人としてべ平連運動にも影響を与えた人物である。その開高がヴェトナムについて何を見、何を書いたかは、これまで開高の文学論や作家論でのみしか考察されてこなかった。本研究ではこれをジャーナリズム史研究の観点から分析し、開高のヴェトナム報道の特性とその姿勢について同時代的な意味を論じた。 4、岡村昭彦のヴェトナム報道 岡村昭彦はヴェトナム報道を最も早く継続的に行った日本人ジャーナリストであるが、大手メディアの記者ではなく、その経歴は全く独自なものであった。本研究では岡村が当時契約していたPANA通信社の関係者や、当時サイゴンで岡村と共に仕事をしていた元ジャーナリストたちに聞き取り調査を実施し、そうしたオーラルヒストリーから岡村の実際の足取りや思想について検討した。当時の岡村の足取りを裏付ける貴重な写真も人手することができ、日本のヴェトナム報道の実態を明らかにする上で貴重な研究成果を上げることができた。
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Research Products
(4 results)