2008 Fiscal Year Annual Research Report
TGF-betaシグナル増強因子Arkadiaの癌悪性化における機能解析
Project/Area Number |
08J08807
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
永野 佳子 The University of Tokyo, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | TGF-β / 癌 / シグナル伝達 |
Research Abstract |
本研究は、TGF-βシグナル増強因子であるユビキチンリガーゼArkadiaの癌における役割の解明を目的として行われている。癌細胞におけるArkadiaとその分解基質である原癌遺伝子産物c-Ski/SnoNの発現の相関を調べるため、20種の癌細胞株での発現量を比べた。定量的RT-PCRとウェスタンブロットの結果、ArkadiaはmRNAレベル、タンパク質レベル共に様々な癌細胞株でユビキタスに発現していることが、c-Ski/SnoNはmRNA、タンパク質とも癌細胞株間で発現量に大きな違いのあることが明らかとなった。c-Ski/SnoNはmRNAとタンパク質の発現量が必ずしも相関しないことも示された。調べた癌細胞株全てにArkadiaが発現していたため、これらの癌細胞内でのArkadiaの機能を確認した。MDA-MB-231細胞を含むいくつかの癌細胞ではArkadiaのノックダウンに伴いc-Skiタンパク質の蓄積が認められ、Arkadiaが機能していると考えられた。しかし、OCUM-2MLN、MKN45細胞ではArkadiaをノックダウンしてもc-Skiのタンパク質蓄積は観察されなかった。c-SkiのmRNA-タンパク質発現量の食い違いも考えると、これらの癌細胞ではArkadiaが機能していない可能性が示唆された。Arkadiaの変異、Arkadiaと共に働くコファクターの不足等原因を検討中である。以上を第67回日本癌学会学術総会にて発表した。また、癌細胞におけるArkadiaの作用を検討するため、Arkadiaの安定発現株や恒常ノックダウン株を作成した。前者ではc-Skiのタンパク質減少を、後者ではc-Skiのタンパク質蓄積を確認した。現在、これらの細胞を用いてTGF-β誘導性の細胞増殖抑制や運動能亢進などに対するArkadiaの効果を調べており、来年度論文投稿の予定である。
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Research Products
(4 results)