2009 Fiscal Year Annual Research Report
TGF-betaシグナル増強因子Arkadiaの癌悪性化における機能解析
Project/Area Number |
08J08807
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
永野 佳子 The University of Tokyo, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | TGF-β / 癌 / シグナル伝達 |
Research Abstract |
本研究は、TGF-βシグナルの増強因子であるArkadiaの癌における役割の解明を目的として行われた。ArkadiaはTGF-βシグナルの抑制因子のひとつであるc-SkiやSnoNを分解に導くユビキチンリガーゼである。はじめに20種類の癌細胞株および2種類の非癌細胞株におけるArkadiaの発現量を比較した所、Arkadiaはこれらの細胞株間でmRNA、タンパク質ともにユビキタスに発現していることが明らかとなった。これに対し、Arkadiaの分解基質であるc-SkiやSnoNのmRNAの発現量は、mRNA、タンパク質レベルともに癌細胞株間で大きく異なっていた。興味深いことに、Arkadiaの分解基質であるc-Skiタンパク質の発現量がmRNAの発現レベルと相関しない癌細胞株も複数見いだされた。Arkadiaをノックダウンすると、調べた多くの癌細胞株でc-Skiタンパク質が蓄積した。しかし、c-Skiタンパク質の発現の高い或る癌細胞株では、Arkadiaをノックダウンしてもc-Skiタンパク質の蓄積を認めなかった。本研究ではまた、ArkadiaをノックダウンするとTGF-βの標的遺伝子の発現誘導が減少することを見いだした。一方Arkadiaを外来性に安定発現させると、c-Skiタンパク質の発現量は減少し、TGF-βの標的遺伝子の発現誘導は亢進した。注目すべきことに、Arkadiaを過剰発現すると、TGF-β刺激下、無刺激下ともに細胞増殖が抑制されることが、HepG2細胞を用いた実験にて観察された。このように、Arkadiaが細胞種依存的にc-Skiタンパク質の発現レベルを調節し、また細胞増殖抑制により癌抑制因子としての機能を示すことが本研究から明らかとなった。以上の結果をThe Journal of Biochemistry誌に発表した。
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Research Products
(1 results)