2009 Fiscal Year Annual Research Report
カーボンなのチューブ/樹脂ナノ複合材料の多機能物性評価と高性能化
Project/Area Number |
08J08839
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
〓 飛 The University of Tokyo, 大学院・新領域創成科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | カーボンナノチューブ / ポリエーテルエーテルケトン / ナノ複合材料 / その場電子顕微鏡法 / 界面強度 / フォーカスイオンビーム法 / TEM内引張り試験 |
Research Abstract |
カーボンなのチューブ/樹脂ナノ複合材料の多機能物性評価と高性能化においては、カーボンナノチューブ(CNT)を熱可塑性樹脂ポリエーテルエーテルケトンに分散したナノ複合材料を作製し、その力学的、電気的特性を定量的に評価した。その結果、CNTを充填することで簿材樹脂の力学特性が向上し、電気伝導特性が飛躍的に上昇した。しかし一方で、力学特性の向上は理論的な予測よりも小さいことがわかった。そこで、その原因を究明するために、複合材料中におけるCNTの補強メカニズムを理解することが不可欠となり、それを理解するためにナノ力学的視点から実験的な研究が行える、複合材料中にあるCNTと樹脂の界面強度を走査型・透過型電子顕微鏡内で直接測定する手法を開発した。それを用いて、CNTと樹脂の界面強度を実験的に直接測定し、界面強度が不十分なため、CNTによる十分な補強が達成できなかったことがわかった。このような研究は、世界的にもほとんど事例が少ない。この分野において大きな知見を与えた。また、複合材料中のCNTを、直接的かつ容易に観察するフォーカスイオンビーム法を開発し、CNTの分散や配向を評価した。このように、ナノ、ミクロオーダーで物質の構造を観察しながらその力学特性も同時に評価する手法を確立したことで、今後のナノ物質の研究分野に幅広く応用できると考えられる。
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