2009 Fiscal Year Annual Research Report
複素G行列有効核力に基づく核反応理論の構築と不安定核への応用
Project/Area Number |
08J08844
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
古本 猛憲 Osaka City University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 三体力 / 複素G行列 / 微視的核反応理論 / 光学ポテンシャル / 弾性散乱 / 斥力ポテンシャル |
Research Abstract |
まず、昨年度の研究成果により得られた「微視的核反応理論」を用いて、原子核間の複素光学ポテンシャルを導出し、それを用いて重イオン弾性散乱の分析を行った。具体的には、複素G行列計算の際に媒質効果として取り入れているパウリの排他律による効果、Fujita-Miyazawa diagramによる三体引力効果、三中間子相関による三体斥力効果のそれぞれの詳細な情報やその影響力を原子核反応の観点から分析した。その結果、三体引力よりも三体斥力が原子核弾性散乱に与える影響がより大きく、中性子性などの中心部におけるような高密度核物質中で特に重要とされる三体斥力の効果を実験室で測定可能な原子核弾性散乱で見ることができることを示した。さらにその際にG行列理論から得られる高次のdiagramの一部の効果についても合わせて分析を行った。また、複合核間における微視的核反応理論で問題となっていた局所密度近似の手法の正当性の検証も行った。 さらに、高エネルギー(E/A=200-400MeV)において、複合核間における斥力ポテンシャルを初めて微視的に導出することに成功している。その複合核間における斥力ポテンシャルが弾性散乱断面積に与える影響をnearsideとfarsideに分解を行うことにより詳細に分析した。また、斥力ポテンシャルが弾性散乱断面積に与える特徴から、斥力ポテンシャルの分析にはその弾性散乱断面積のエネルギー依存性に着目することが重要であることを示した。さらに、その弾性散乱断面積やポテンシャルのエネルギー依存性からこれまでまったく未知であった三体力のエネルギー依存性の分析の可能性を示すことに成功した。
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Research Products
(14 results)