2008 Fiscal Year Annual Research Report
マウス卵減数分裂再開後に起こるヒストンH2AXリン酸化の解析
Project/Area Number |
08J08859
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
湯川 将之 The University of Tokyo, 大学院・新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ヒストンH2AX / 卵 / マウス / ATM / ATR / DNA-PKcs |
Research Abstract |
私のこれまでの研究から、減数分裂再開後のマウス卵ではDNAの損傷非依存的に、特定の時間にだけヒストン変異体であるH2AXのリン酸化が起こることが分かった。 H2AXのリン酸化はDNA損傷を修復する機構の中で重要な役割を担っていることが知られている。またそれ以外にも,H2AXのリン酸化は精子形成の時に行われる性染色体遺伝子の発現抑制やリンパ球で抗体を産生する時のDNAの組み換え等に関わっていることが知られている。よって、私が発見した減数分裂再開後の卵におけるH2AXリン酸化は、新たなH2AXの機能を示唆している。本研究ではこのH2AXリン酸化の機能およびその作用機構を明らかにすることを目的としている。 [当該年度の研究実施状況] 減数分裂再開後の卵において、H2AXのリン酸化を行う既知の酵素が発現しているかどうか調べるために、ATM,ATR、DNA-PKcsの酵素の発現をRT-PCRで調べた。その結果、どの酵素も卵において発現レベルが高いことが分かった。よって減数分裂再開後の卵において、どの酵素もH2AXをリン酸化する可能性があることが示唆された。 次に、それら酵素に対する特異的抗体を用いた免疫染色法を行った。その結果、卵においてATMおよびDNA-Pkcsタンパク質が存在することが分かった。しかし、この手法ではATRタンパク質を検出することは出来なかった。以上より、減数分裂再開後の卵におけるH2AXリン酸化はATM、ATR、DNA-PKcsの3種類の酵素のどれかもしくはそれら酵素の重複によって行われていることが考えられる。 [研究実施計画] 来年度以降、この時期におけるH2AXリン酸化酵素の機能およびメカニズムを解明するために。ATM、ATR、DNA-PKcsそれぞれに対する特異的阻害剤を用いた実験やH2AXリン酸化の優性阻害実験を行いたいと考えている。
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Research Products
(1 results)