2010 Fiscal Year Annual Research Report
擬二次元三角格子反強磁性体におけるカイラル秩序とそれに伴う新しい相転移現象
Project/Area Number |
08J08860
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石井 梨恵子 東京大学, 新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 幾何学的フラストレーション / 擬二次元三角格子反強磁性体 / 古典スピン |
Research Abstract |
〈研究成果の内容〉 S=5/2の擬二次元三角格子反強磁性体Rb4Mn(MoO4)3の単結晶を育成し,帯磁率や比熱などの低温物性測定を行った。また、擬二次元三角格子反強磁性体における普遍性を調べる為、モンテカルロシミュレーションを行い、実験と理論を詳細に比較した。さらに詳細な磁気構造を調べる為、米国のNISTにて中性子散乱実験を行い、ゼロ磁場下でのスピンの動的振る舞いを調べた。これらの結果から、Rb4Mn(MoO4)3は、実験と理論が非常によく一致する三角格子反強磁性体では初めての物質例であることが分かった。Rb4Mn(MoO4)3は、理想的な二次元三角格子反強磁性体の典型例として、今後の発展が期待される非常に重要な物質である。この結果は、Europhysics. Lett.に掲載された。 〈研究意義,重要性〉_ 擬二次元三角格子反強磁性体の理論的研究は1980年代から盛んに行われてきたが、実験的には、そのモデル物質の欠如から幾何学的フラストレーションが基底状態に与える効果や強誘電性の出現機構をなど未だに多くの課題が残されている。古典スピン系の二次元三角格子反強磁性体の典型物質Rb4Mn(MoO4)3の発見は、この系における基底状態や普遍性を追究する上で非常に有益であると考えられる。
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Research Products
(4 results)