2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J08867
|
Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
鈴木 耕太郎 Ritsumeikan University, 文学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 牛頭天王 / 祇園社(八坂神社) / 神仏習合 / 寺社縁起 / 〓〓内傅 / 蘇民将来 / 宗教民俗学 / 説話文学 |
Research Abstract |
平成20年度の研究実績およびその具体的内容をまとめると、以下の通りとなる。 1.研究実績について 平成20年度の研究実績については、2008年5月に伝承文学研究会・関西例会にて「牛頭天王に関する諸考察-『養簒内傅』を中心に-」と題して発表、また同年6月には立命館大学日本文学会大会にて「『〓〓内傅金烏玉兎集』考-「楊憲本」の考察を中心に-」を、翌2009年1月には説話・伝承学会1月例会にて「『〓〓内傅』楊憲本に関する考察-牛頭天王信仰に関連して-」を発表した。これら発表をベースにした論文については、現在、作成中である(神道史学会の『神道史研究』、立命館大学日本文学会の『論究日本文学』に投稿予定)。 2.平成20年度における研究内容と目的、および意義について 本年度は、指導教員と相談の上、牛頭天王信仰の多様な側面を、一つ一つ丁寧に照らし出していく作業を試み、結果として陰陽道における牛頭天王信仰の在り方について、深く考察することとなった。まず、牛頭天王信仰と陰陽道とを結びつけるテクストとなる「〓〓内傅金烏玉兎集」について、天理大学附属図書館蔵書本などの閲覧・書写の許可を頂き、それを、現在広く知られている『続群書類従』所収の「〓〓内傅金烏玉兎集」と比較した。結果的に同一のテクストでありながら、この両本の間には表記の差異が大きく見られることが明らかとなった。特に牛頭天王からの利益が約束される「呪符」の存在が、それぞれ異なった表記になっていることから、両本の間にも牛頭天王の捉え方が異なっていたのではないか、との私見を発表するに至った。現在は、近世期に版本として出された「〓〓抄」などを丁寧に見る作業を行っている。 また、同時に、陰陽道と牛頭天王信仰とを結びつけるキーワードとして、吉田神道の影響があるのではなか(或いは、吉田神道が陰陽道並びに牛頭天王信仰に影響された部分があるのではないか)と考え、吉田神道と結びつきの深い神社をフィールドワークすると共に、諸文献を探っている。
|
Research Products
(3 results)