2010 Fiscal Year Annual Research Report
バイオ・ナノ融合テクノロジーを基盤とした新規的な骨・軟骨誘導剤の開発
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08J08868
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
北條 宏徳 東京大学, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 骨促進薬剤 / 再生医療 / ヘッジホッグシグナル |
Research Abstract |
1.新規候補薬剤の骨・軟骨形成メカニズム解析(in vitro, in vivo解析。標的遺伝子変異マウスの作成等) Hhシグナル活性剤SAGの骨促進メカニズムの検討を行った。SAG曝露によりHhシグナルの下流因子であるGli1, Gli2およびGli3のmRNA発現およびタンパク質局在を検討した結果、SAG曝露によりGli1のmRNA発現および細胞核内におけるタンパク質発現が上昇した。Gli2はmRNA,タンパク発現共に大きな変化は認められなかった。一方、Gli3に関してはmRNA発現には大きな変化は認められなかったものの、細胞核内における抑制型Gli3の発現が消失した。以上の結果、Gli1およびGli3がHhシグナル反応性であるのに対し、Gli2はHhシグナル非反応性である可能性が示唆された。また、各Gliの発現ベクターを細胞にトランスフェクションし、一定期間培養した後、RNAを回収し、骨芽細胞分化マーカーの発現をReal-time RT-PCRで検討したところ、Gli1発現により特異的に、骨芽細胞初期の分化マーカーであるAlpおよびBspの発現が上昇した。shGli1によりGli1発現をノックダウンしたときの効果を検討した結果、SAGにより誘導されるAlpおよびBsp発現はGli1ノックダウンにより有意にその発現が減少した。以上の結果より、SAGによる骨芽細胞分化促進作用はGli1を介している可能性が示唆された。現在、Gli1ノックアウトマウスの解析を検討中である。 2.マウス骨・軟骨欠損モデルに対する、骨・軟骨再生用多機能型インプラントの解析 骨セメント中にSAGを含有した骨再生用インプラントを作製し、マウス骨欠損モデルに対する作用を検討した。マウス頭蓋骨に作製した臨界骨欠損モデル(直径5mm、トレパンにて作製)にインプラントを埋植し、4週間後に骨再生能を検討した。その結果、SAGによる有意な骨再生能は認められなかった。一方、同様のインプラントをラット大腿骨骨欠損モデル(直径3mm、ラウンドバーにて作製)に埋植し、2週間後に骨再生能を検討した。その結果、SAGにより皮質骨の再生が促進する傾向が認められた。以上の結果より四肢骨欠損に対してSAGは有用である可能性が示唆された。同様に、骨セメント中にTHを含有した骨再生用インプラントを作製し、マウス骨欠損モデルに対する作用を検討した。マウス頭蓋骨に作製した臨界骨欠損モデルにインプラントを埋植し、4週間後に骨再生能を検討した。その結果、THにより顕著な骨再生が認められた。現在、ラット大腿骨骨欠損モデルに対するTHの効果を検討中である。
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Research Products
(2 results)