2009 Fiscal Year Annual Research Report
モレキュラーグルーの開拓と生体分子の非共有結合的修飾
Project/Area Number |
08J08892
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大黒 耕 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | デンドリマー / グアニジン / タンパク質修飾 / 非共有結合的修飾 |
Research Abstract |
接着能力のやや低いモレキュラーグルーを添加した微小管が、冷却によってフィラメントをリング状に連ねた2次元結晶構造を与えることを見出した。これは、微小管の脱重合プロセスが弱い接着により遅延され、脱重合過程に現れる屈曲したプロトフィラメントがリング状構造をとることで比較的安定な状態で維持されているものと考えられる。このリング状2次元結晶構造は他の方法で得られるリング状構造体と比較して非常に高い均一性をもち、この構造を詳細に解析することで微小管の脱重合メカニズムの解明に重要な知見を得た(J.Biochem., 2010)。また、ATPの加水分解に共役したミオシンとアクチンの滑り運動に着目した。アクチンフィラメントはガラス表面に固定されたミオシン上をATP存在下で滑り運動によって動き回ることが知られている。ここにモレキュラーグルーを添加することで、アクチンフィラメントの滑り運動速度を減少させ、さらには停止させることを見出した。この滑り運動の停止は可逆的であり、緩衝液によるモレキュラーグルーの洗浄・除去を行うことで運動を再開させることにも成功している。このようにモレキュラーグルーを用いたタンパク質機能の制御の一例として、アクチン-ミオシン間の滑り運動に対して化学的な摩擦を生み出し、可逆的にその運動をコントロールすることに成功した(Angew. Chem. Int. Ed., 2010)。さらに、モレキュラーグルーの接着モチーフとして使用しているグアニジンは、細胞膜透過性を向上させる官能基としても広く知られており、細胞膜との親和性を増強したある種のモレキュラーグルーが、接着したタンパク質を高い効率で細胞内へと輸送する機能を有することを発見した。このモレキュラーグルーを媒介としたタンパク質デリバリーは、輸送するタンパク質の機能を損なうことなく、細胞に対しても無毒性であった。
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Research Products
(6 results)