2009 Fiscal Year Annual Research Report
グリッド環境における並列計算実行基盤の最適化に関する研究
Project/Area Number |
08J08911
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
千葉 立寛 Tokyo Institute of Technology, 大学院・情報理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | クラウド / マルチキャスト / 並列計算 / データインテンシブアプリケーション / アルゴリズム |
Research Abstract |
本年度は、近年並列計算実行環境として注目されているクラウドコンピューティング環境における通信性能や実行性能を最適化するための研究を行った。クラウドでは、アプリケーションを実行するユーザが、必要に応じて必要な分だけの計算資源を瞬時に確保し利用することが可能である一方で、ユーザが利用する計算機は仮想計算機の形で提供され、確保した計算機がどのようにクラウド上に配置されるかは完全にシステムに委ねられており、ユーザにとってその情報を簡単に知りうることはできず、並列アプリケーション実行の最適化を行うことが非常に難しい。また、クラウドストレージに対するI/O性能は、システムの状態など様々な条件によりバラツキが発生することが確認されており、今後も利用が増え続けるクラウドにおいて、このように自動的に決定されたユーザ計算資源や、動的に変化するリソースパフォーマンスを効率的に利用する手法を開発する必要がある。 我々は、Amazon S3/EC2に代表されるクラウドストレージとクラウド計算ノードとの間で、効率的に大規模データをマルチキャストする手法を提案した。事前にバンド幅やトポロジ情報を必要とせず、クラウドストレージからのデータ取得時のダウンロードスループットの揺らぎに対して、複数ノードが協調的にロードバランスを行うことで、動的に全ノードのスループットを最大化することが可能となる。主にCPUでの処理負荷分散に用いられるワークスティーリングのアイディアをマルチキャストに応用し、ボトルネックリンクを各ノードが自律的に迂回し、常に最適なスループットを達成する。このマルチキャストアルゴリズムの性能に関する議論・考察を情報処理学会,HPC研究会主催の"ハイパフォーマンスコンピューティングと計算科学シンポジウム(HPCS 2010)"において口頭発表した。
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Research Products
(2 results)