2008 Fiscal Year Annual Research Report
小型魚類の視運動反応の数理的解析とその神経・分子基盤の解明
Project/Area Number |
08J08937
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
末廣 勇司 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | メダカ / 視運動反応 / 数理解析 / 神経基盤 |
Research Abstract |
1.これまで、視運動反応中の行動特性からモデルを作成し、実際にシミュレーション上で縞への追従応答を示すことを確認していた。本年度はモデルの妥当性の確認と改善のため、メダカに見せる縞の密度、速度、配置パターンを変化させる、胸びれがなく方向転換や減速に異常があると期待される変異体を用いた行動実験を行ってきた。この結果、縞の速度の上昇に伴ってメダカが緩やかな加速と急な加速の2種類の加速様式を使い分けることを見いだした一方、変異体を用いた場合では平均的な泳ぐ速度・進行方向は胸びれをもつ兄弟との間に差が見られなかった。今後、得られたデータをシミュレーション結果と比較してモデルの改善を行おうと考えている。また、縞の回転速度をコンピュータ制御で視運動反応中に周期的・ランダムに変化させるため、東京工業大学との共同研究により装置の作成を試みた。 2.視運動反応や視覚情報処理、運動制御に関わる脳領域で発現する遺伝子の検索を行った。既に私達がマイクロアレイ実験を行って得た候補や、他のグループにより報告されていたグルタミン酸受容体のサブユニットなどについて、メダカホモログ遺伝子の発現パターンを確認した。またサントリー生物有機科学研究所と共同研究を行い、MALDI-TOF/MSによるメダカの終脳や視床下部に存在する神経ペプチドの網羅的な同定を試みた。これにより得られたペプチドの一部について、前駆タンパク質をコードする遺伝子のクローニングと、そのうちの1つγ-preprotachykininのin situ hybridization法による脳内発現領域の同定を行った。これらの遺伝子のプロモータ領域に神経興奮を抑制するヒトkir2.1をつないだコンストラクトを作成し、メダカ卵にインジェクションしてトランスジェニックラインの作成を行ってきた。今後、こうしたメダカの視運動反応の解析を試みる。
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Research Products
(5 results)