2009 Fiscal Year Annual Research Report
19世紀ヨーロッパ自由主義勢力と議会制-オランダを中心に-
Project/Area Number |
08J08966
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
作内 由子 The University of Tokyo, 大学院・法学政治学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | オランダ政治 / ヨーロッパ政治史 / 議院内閣制 / 政治制度論 / 比較政治 / 政府-議会関係 / 議会制 / 政治発展論 |
Research Abstract |
今年度は、第一次世界大戦までのオランダの議院内閣制化について研究した。作内はオランダ型議院内閣制の特徴を、政府と議会とが相互に自律的である点(二元主義的政治慣行(dualisme))と捉え、その形成過程を明らかにした。二元主義的政治慣行は、議院内閣制の前段階である二元的議会制、すなわち君主と議会とがそれぞれ正統性を持ち、並び立っている議会制の特徴が、議院内閣制下においても残存することによって成立した。オランダにおいて相互自律的な特徴が残った理由は2つある。第一に、君主権が弱く、君主-議会間に深刻な対立のないまま早期に(1868年)議院内閣制に移行したことである。第二に、大衆組織化が進み、民衆の政治参加が活発化した時期に、利益団体が大衆政党組織形成に関与しなかったことである。利益団体が政党組織に組み込まれた場合、その政策形成は政党組織に一元化され、閣僚と議員とを拘束し、政府と議会与党とが一体化する。 政治学界では近年、首相の権限の増大を、リーダーシップの発露として歓迎する意見もある反面、その圧倒的権力を危惧する主張も多い。これらの議論に対して、議会が執行府とどのようにバランスをとっていくのか、という視座、さらに言えば立法府の執行府に対する復権とも言うべき視座を与えることができる。 来年度は戦間期にこのような相互自律的な議院内閣制がどのように運用されてきたかを検討する予定である。そのため、2月に2週間ほど短期渡蘭し、デン・ハーグ国立文書館、ナイメヘンカトリック文書センターで史料収集を行った。
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Research Products
(6 results)