2010 Fiscal Year Annual Research Report
19世紀ヨーロッパ自由主義勢力と議会制-オランダを中心に-
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08J08966
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
作内 由子 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | オランダ政治 / ヨーロッパ政治史 / 議院内閣制 / 政治制度論 / 比較政治 / 政府-議会関係 / 議会制 / 政治発展論 |
Research Abstract |
前年度までに、第一次世界大戦までに確立されたオランダ議院内閣制の特徴を、他の大陸ヨーロッパと比較しつつ明らかにしたが、今年度はその制度が第一次世界大戦後、すなわち戦間期にどのように機能し得たのかについて研究を行った。オランダ議院内閣制の特徴は、19世紀自由主義において是とされた政府と議会との相互自律制が、20世紀に入り、大衆組織政治が行われるようになっても形を変えながら継続していた点にある。このような制度は、政府-議会間の対立を招き、政治的不安定をもたらし得るが、戦間期のオランダでは、政権の継続期間は長かった。その理由は当時政権に就いていた宗派諸政党の組織構造にあった。宗派政党は、社会経済政策について多様な利益を包摂しており、議会を媒介として特定の社会経済政策を推進すると、党が分裂する危険性があった。そのため、党と議員団とは主として宗教的利益の擁護-戦間期に入ると、推進するというより既存の権利が侵害されないことに重点がおかれた-を担い、その一方で経済利益は省庁の審議会や、閣僚レベルが行いそれに干渉しないことで、党の一体性を保っていたのである。 2010年6月に日本比較政治学会大会で「戦間期オランダにおける政党と議会」と題し、政府と議会との関係が戦間期を通じて次第に政府優位になっていく過程を報告した。その後、8月から2011年3月までアムステルダム大学人文学部に滞在し、現地の研究者との交流、史料の収集をする機会を得た。滞蘭中の成果は、2011年6月に開催される日本比較政治学会大会で報告される予定である。
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Research Products
(1 results)