2009 Fiscal Year Annual Research Report
親密性の変容と家族の現代的展開―近現代イギリスの法制度とその社会的背景を中心に
Project/Area Number |
08J08984
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
野田 恵子 The University of Tokyo, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | セクシュアリティ / ジェンダー / イギリス社会史 / 親密性 / 家族 / 歴史社会学 / イギリス文化史 / 社会問題 |
Research Abstract |
本年度の成果は以下のとおりである。 1学会・研究会での発表 (1)クィア学会において、「『ソドミー法』とはいかなる法だったのか?-イギリスにおける『ソドミー法・事件』を事例に-」というタイトルのもと、西洋キリスト教圏で同性間の性愛が歴史的にどのように認識されていたのか、を現在のイギリスの性愛のありようとの異同において取らえ直す作業を行った。 (2)日本英文学会例会において、「『性科学』と法-20世紀転換期イギリスにおける『同性愛(者)』の構築」というタイトルのもと、「同性愛」が20世紀転換期イギリスにおいて、いかなる観点から問題化されたのか、そしてそれはどのような効果と意味を持つのか、をキリスト教の性規範と法、性をめぐる医学-科学的知の相克を軸に歴史社会学的に検討し、性をめぐる宗教と科学の知の錯綜したありようを指摘した。 2論文(2010年刊行予定) 「同性愛と<寛容な杜会>--解放と容認の時代--」というタイトルのもと、1960年代以降の<寛容な社会>といわれるイギリス社会が、同性間の性愛がどのような論理においてその内部に取り込んだのか、そしてそれは異性間の性愛の意味の変容とどのように連動しているのか、を「同性婚」の合法化までの過程を追跡することで明らかにした。 上記の作業をとおして、イギリス社会が「同性婚」を合法化する背景やその論理を、性にリベラルな社会の誕生という位相ではなく、キリスト教道徳と科学の知の関係性の内部で指摘することができた。
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Research Products
(2 results)