2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J08993
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
武藤 正義 Gakushuin University, 法学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 再分配原理 / 平等 / 効率 / 累進課税 |
Research Abstract |
拙報告書論文「自由な社会における不平等の非効率性:再分配原理のゲーム理論的分析」(籠谷和弘編科学研究費報告書『市民活動の活性化支援の調査研究:秩序問題的アプローチ』441-449,2008)において萌芽的に示した基本モデルを発展させた.この論文において問題となっていたのは,高所得者も低所得者も一律に同じ比率で課税されるという再分配原理の非倫理性であった.そこで改善点として,高所得者に対して高い税率を課し,低所得者に対して低い税率を課す累進課税制を基本モデルに導入した.ところがここで新たな問題が生じた.それは,所得に応じて連続的に税率が定まるという自然な仮定が,かなり複雑な数学的構造を孕むということである.この問題の解決のため,戦略構造を有限集合から不加算無限集合にするなどのモデルの一般化をすすめ,この複雑な数学的構造の分析を試みたが,問題の困難さゆえに依然としてまとまった結果を得ることはできていない.そこで視点を変えて,他者に高い利得をもたらす協力的行為に対しては低い税率を,逆に他者に低い利得をもたらす非協力的行為には高い税率を課すという,行為に対する課税モデルを基本モデルに導入したところ,うまくまとまった分析結果を得た.そこでこの成果を第47回数理社会学会大会(於京都産業大学)にて報告したところ,概ね好意的な反応と有益なコメントを得た.
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Research Products
(1 results)